顔面神経麻痺

顔面神経麻痺について

顔面神経とは、12対ある脳神経のうち7番目の脳神経で、主に表情筋(顔の筋肉)を動かす運動神経と、舌前3分の2の味覚をつかさどる感覚神経、また、涙腺・唾液腺の分泌をつかさどる自律神経(副交感神経)の三つの神経で、これらの顔面神経に何らかの障害が生じると顔面神経麻痺が起こります。

そして、顔の表情を自分で思うように動かせなくなったり、味覚障害、涙や唾液の分泌障害が起こったりします。

顔面神経麻痺で最も多いのは、はっきりとした原因が不明のベル麻痺です。
また2番目に多いのは帯状疱疹ウィルスによるRamsay Hunt’s 症候群です。

顔面神経麻痺は、早い時期に治療を受ければ治癒する確率が高いのですが、そのまま放っておくと治らず後遺症が残ってしまう場合が多くありますので、早期の治療が重要になります。

もしかして顔面神経麻痺かな、と思ったら

何科を受診すれば良いか?
顔面神経麻痺が起きたと思ったら、まず、出来るだけ早く大きな病院(脳神経外科、神経内科、耳鼻咽喉科)を受診して精密検査等を受けられ、はっきりとした原因を見つけて西洋医学的治療を受けられることをお勧めします。
早い時期に治療を受ければ、治癒する確率も高くなります。

やってはいけないこと
この時期に自分で治そうと思い、マッサージなどするとかえって麻痺の症状を助長してしまい、病的共同運動(目を閉じようとすると口角も同時にぴくぴく痙攣のように動いてしまう現象)を起こしてしまう原因にもなるのでやらないようにします。

 

顔面神経麻痺の分類

顔面神経麻痺は、末梢性顔面神経麻痺中枢性顔面神経麻痺に分類されます。

末梢性顔面神経麻痺は、顔面神経核より末梢部に障害が起きたことにより起こる顔面の麻痺で、ベル麻痺やラムゼイハント症候群があります。

中枢性顔面神経麻痺は、脳から顔面神経核に至るまでに障害(脳血管障害)が起きたことにより起こる顔面の麻痺で、顔面神経麻痺以外の症状を伴うことがほとんどです。

 

顔面神経麻痺の原因と症状

<末梢性顔面神経麻痺について>
原因
・ベル麻痺については、はっきりとした原因は不明です。
・ラムゼイハント症候群は、感染性で水痘帯状疱疹ウィルスにより起こる麻痺です。
・事故による顔面損傷などの外傷により起こる顔面神経障害
・脳腫瘍により起こる顔面神経障害
・手術により起こる顔面神経の損傷による顔面神経障害など

症状
顔面の片側半分のみに麻痺が起き、下記のような症状がほぼ同時に表れます。
・口角が下垂して、口を上手く閉じれない
・水を口に含むと口の端からこぼれてしまう
・口を尖らすことが出来ない
・鼻唇溝の消失
・眼が広く開いて眼を閉じるのが困難になる
・眼を強く閉じようとすれば眼球が上方に回転して白眼が出る(ベル現象)
・麻痺側の目と眉が下がる
・額にしわが作れなくなる
・味覚の障害
・唾液の分泌障害(分泌低下 唾液が出にくくなる)
・涙の分泌障害(分泌低下 涙が出にくくなる)

 

<中枢性顔面神経麻痺について>
原因
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が原因で起こる顔面神経麻痺です。

症状
顔面の片側半分のみに麻痺が起き、下記のような症状が表れます。
・末梢性顔面神経麻痺と違い、額のしわはつくれる
・口角が下垂して口を上手く閉じれない
・口を尖らすことが出来ない
・鼻唇溝の消失
・顔面神経麻痺以外の症状を伴うことがほとんどです

 

顔面神経麻痺の前兆・初期症状

顔面に麻痺が起きる前に、前兆として顔面に何か違和感を感じたり、麻痺が起きそうな感じがあるかもしれません。

あるいは、下記のような症状が前兆である場合もあり、初期症状となります。
・耳の後ろや後頭部が痛い・・いつもと違うような気がする
・耳の聞こえが過敏になって首もこって重い
・味覚がしなくなっていつもと違う
・耳の後ろに帯状疱疹が出来た、耳鳴りもする・・
・急に難聴になった・・
・めまいがする・・

この初期の段階ですと、まだ麻痺が起きていないので、顔面神経麻痺を疑わないで過ごしてしまうことが多いのです。
しかし、これらの前兆としての症状が表れている初期の時期に、病院で精密検査を受けて、適切な治療を受けることが一番理想的なのです。

特にラムゼイハント症候群の場合は、ステロイド剤以外に、抗ウイルス剤の併用投与が必要で、発症から1~3日以内に治療をうけることにより、治癒率が高くなります。

 

顔面神経麻痺の一般的な治療

・原因不明の場合は主に薬物療法が中心で、星状神経節ブロックなども行われます。
・原因が明らかな場合は薬物療法や手術、顔面神経の再建手術などが行われます。
・ウィルス性の場合は、出来れば3日以内に抗ウィルス藥が必要です。

その他、鍼治療など東洋医学的治療もあります。

 

顔面神経麻痺の後遺症

顔面神経麻痺が完治しなかった場合には、何らかの後遺症が残り、麻痺発症から6ヵ月頃から表れることが多く、主に、下記のようなことが後遺症の症状として起こります。

・病的共同運動
食事や会話をする際に、瞬き(ウインク)と同時に口角がぴくぴくと痙攣のように動いてしまう現象で、最も頻度が高く表れる症状です。

・拘縮
いわゆる顔面の強張り(こわばり)のことで、特に鼻唇溝が深くなり、上唇の動きが悪く、安静時には健側(麻痺していない側)の顔が麻痺しているように見える症状。筋短縮のこと。

・ワニの涙
食事をする時に涙が出る現象

・耳鳴り
顔面の表情筋の動きに伴い、不快な耳鳴りが生じる現象(アブミ骨筋性耳鳴)

※ワニの涙やアブミ骨筋性耳鳴は、病的共同運動や拘縮よりも早く表れることが多いです。

 

顔面神経麻痺後遺症の一般的な治療

・ベル麻痺やラムゼイハント症候群では、麻痺がある程度は改善するので、後遺症が起きている部分の部分的形成手術を行うことが多いです。

・拘縮や病的共同運動の場合は、A型ボツリヌス毒素(ボトックス)の皮下注射や、神経節ブロック、また、選択的神経切断術や選択筋切除術が行われることがあります。

・その他、鍼治療など東洋医学的治療もあります。

 

顔面神経麻痺のリハビリテーションと目的

<急性期(発症~1ヵ月)>
この顔面神経麻痺を発症した当初の時期は、自分で麻痺を治そうと思いマッサージなどしてはいけません。
麻痺で神経が変性してしまっているのをマッサージすることによって、かえって麻痺を助長してしまったり、病的共同運動を起こす原因にもなってしまいます。

<発症後1ヵ月~3ヵ月>
この時期におけるリハビリテーションは、病的共同運動や顔面拘縮などの後遺症を予防したり、軽減することを目的に行います。
通常、顔面神経麻痺が発症しても、自然なまばたき、しゃべる、食べるなどの生理的表情筋運動は行われています。
しかし、早く治そうとして両目を強く閉じたり、強く口笛を吹いたり、強く頬を膨らませるなどの動作は、病的共同運動などを引き起こす原因になるので、行わないようにします。

マッサージにより筋短縮や拘縮を抑制することは出来ますが、強い力や荒い力で表情筋をつかんだり、揉んだり、圧したりすると後遺症の予防や軽減がかえって難しくなってしまいます。

低周波を行うのもいけません。

<マッサージのやり方>
表情筋の走行に沿って軽く、軽い力で行い、決して強い力で行ってはいけません。
前頭筋(額から前髪の中まで)は、上下や丸く円を描くように、眼輪筋や口輪筋は、上部と下部を水平にマッサージします。
他の表情筋も基本的には、原則として上下、縦横、斜め、マルク筋繊維の走行方向に伸長マッサージをします。

<慢性期 発症後3ヵ月~1年>
この時期のリハビリテーションは、(1)筋力の低下に対するもの (2)顔面拘縮の予防 がメインになります。
軽い力で表情筋に沿って行い、強い力で、揉んだり掴んだりしてはいけません。

一番大事なことは、出来るだけ早期に受診し、リハビリテーションを行う場合も、医師の指示に従って下さい。

当医院の顔面神経麻痺の鍼治療

2018年9月迄の20年間で顔面神経麻痺・三叉神経麻痺について 774件の治療実績

当医院では、歯科の領域でもある顔面神経麻痺、三叉神経麻痺(下顎神経麻痺・オトガイ経麻痺)の治療に、鍼治療Parietal Acupoint Therapy (PAPT療法)頭頂部鍼療法を行っており、当医院の治療をご希望の場合、病院での西洋医学的治療を1~2週間受けられてからご来院いただいております。

この鍼治療法、PAPT療法(頭頂部鍼療法)は従来の鍼治療とは違う鍼治療法で、西洋医学的考えと東洋医学を融合した当院独自の鍼治療法です。
個人差はありますが、患者様には何かしらの治療効果をその場で実感して頂いており、顔面神経麻痺の症状でお悩みの患者様の治癒、改善を行ってまいりました。

鍼治療PAPT療法について詳細は こちら

 

当医院の顔面神経麻痺 治療実績例

右顔面神経麻痺  27歳 女性 東京都

某大学病院にベル麻痺で入院したが、改善されなかった。
その後、3ヶ月後に当医院を紹介された。
紹介状によると本人には改善しない可能性が高いと伝えてあるとのことであった。
眼の閉鎖が困難、口の下垂、涙が多いなどを主訴として当医院に来院される。

※最初の3ヶ月は月に3回、後の5ヶ月は月に1回のParietal Acupoint Therapy(PAPT療法)の治療により治癒する。


右顔面神経麻痺
  36歳 男性 茨城県

当医院に来院される1年半前に発症し、某病院にて 2週間入院、投薬のみの治療を受けたが改善されなかった。
右眼が閉じられず、乾燥感があり、また口の歪みを主訴として当医院に来院される。

※最初の数ヶ月は月に4回、その後、月に2回通院され、1ヵ月半(16回)のParietal Acupoint Therapy(PAPT療法)の治療により半年後に治癒する。

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